15周年インタビュー記事

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『クレオパトラ結成15周年記念インタビュー』

今年で結成15年目を迎えるお笑いコンビ、クレオパトラ。2014年、2人は12年間所属したよしもとクリエイティブ・エージェンシーを辞め、フリーの道を選んだ。桑原の就職やライブハウス・CHARA DEの運営など、現代におけるお笑い芸人のあり方を開拓し続ける根底にはどのような思いがあるのか。8月19日に開催される第10回単独公演「イシツナギ」を目前に控えた彼らに、15年目の考えを聞いた。

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解散はしちゃいけない

──今年でコンビ結成15周年ですが、これは東京NSC7期を卒業して12年間よしもとで活動し、現在フリーになって3年目ということでしょうか?

長谷川 そうですね。小学校からの幼馴染なので、出会いで言うとどのくらいだろう。

桑原  小学6年生からだもんね。23年ぐらいか。

──15年間という歳月は、体感としてどうですか?

桑原  すぐだったなぁ、って俺は思いますけどね。

長谷川 事務所にいた時はとにかくがむしゃらに事務所に認めてもらいたいとかテレビ出たいとか、あとは賞レースで結果残したいとかそんなことばっかりだったので、あんまり芸人をやってた感覚がないです。

桑原  確かにね、事務所にいた時はなんだかんだ同じことをずっとやってた気がする。

長谷川 ネタ作って、出して。

桑原  単独の季節が来れば単独やって、賞レースの季節が来れば賞レースを頑張る、っていうのを何年も。

──ある意味、会社員のルーティンワークのような。

長谷川 あ、そうですね。

桑原  周りも同じ足並みでやっていたので、時間の感覚が全然なかったですね。「あの単独もう3年前なんだ」とか、そういう感覚でした。

長谷川 だから事務所にいた12年間は、芸人をやってた記憶がないですねあんまり(笑)。

──紆余曲折はなかったですか?

長谷川 いや、めちゃくちゃあるんですけど、多分楽しくなかったからあんまり覚えてないんです(笑)。

桑原  それはありますね。

長谷川 その時楽しんでやってても、結局は認められないと何にもならないんで。

桑原  確かにね。結果として残ってないから実感もないし。気がつけば芸歴を重ねて、出会う芸人はみんな後輩。滅多に先輩に会わなくなって、「あ、俺こんな年寄りになってたんだ」みたいな感じはあります。

──15年と聞くと、結婚で言うところのおしどり夫婦のように思えますが、相性がいいからそこまで二人三脚できるものなんでしょうか?

桑原  そんなにも二人三脚でもないんですよ、お笑いコンビって(笑)。お互いが好きなことをやって、それがたまたま方向性が一致したりとかで、っていうのがずっと続いてるだけの話で。

長谷川 そうですね。

桑原  お互いのやりたいことがはっきりしすぎていると、方向性の違いみたいなのが生まれたりするんです。僕らの場合は、長谷川はやりたいことがあるけど、俺は別にやりたいことがなかったので。お前がそれやりたいならいいよっていう感じです(笑)。

長谷川 まあ言わなすぎて腹立つ時もありましたよ(笑)

桑原  ちょっとは考えろと(笑)

長谷川 でもフリーになってからは普通に言うようになって、「いや、これはこうじゃない」とか。

桑原  そうですね、確かにフリーになってからのほうが言ってるかもしれない。

──それはどういう心境の変化で?

桑原  単純に、もうやりたくないことをやりたくない、っていうだけです(笑) 事務所にいた頃は我慢の連続だったので。

──それでも続けてこれたのは、お互いに信頼があったんでしょうか?

桑原  信頼はしてないんじゃないですか?(笑)

長谷川 基本的な部分は似てるんですよ。性格は飽き性で、適当で。だからどっちかが焦ってしっかりする、っていうのが繰り返されてるだけだと思うんですけど。

桑原  こいつはこういうやつだから、ここは気をつけなきゃっていう、その信頼はありますよ(笑)。特に長谷川は俺に対してめちゃくちゃあると思うし。

長谷川 まあ桑原は気分で変わりますからね。

桑原  俺がすごい完璧な人で、それを信頼してて、ある日突然「お笑い辞める」って言ったらすごい衝撃を受けると思うんですけど、俺が今の感じで「お笑い辞めるわ」って言っても、まあそうだろうなとしか思わないでしょう(笑)。

長谷川 実際2回ぐらい言ってますしね。

──そうなんですか!

桑原  だから「信頼できない」っていう信頼がある(笑)

長谷川 あははは。

──その解散話はどういう結論になったんでしょうか?

桑原  2回とも長谷川に説得されました。

長谷川 ここまできたら辞める意味ないですからね。

桑原  そうですね。1回目はよしもとにいた頃本当に嫌になって、2回目はフリーになって就職決まるって時に、両方やるなんてのは難しいだろうからと。でももう今は解散はしなくていいかなと思っています。やっぱ、モーニング娘。のファンになったんですよ。

長谷川 「やっぱ」ってなんですか(笑)

桑原  アイドルのメンバーが卒業するじゃないですか。卒業して、その人が芸能界にまだ残ってくれるならいいんですよ。でも完全に芸能界を辞めますってなると、もう見れないというのはすごく悲しいんですね。だから解散とか引退ってのは、ただただ人を悲しませるだけ。鞘師里保もモーニング娘。を卒業したけど、留学してダンスの勉強したら芸能界に戻ってきますって言ってますし。それだけを希望にお客さんは待ってられるんですよ。でもここで完全に引退しますって言ったらもうみんな死ぬかもしれない。だからいくらでもお客さんは待たせていい。でも解散はしちゃいけない。

──なるほど。モーニング娘。で学ぶファン心理ですね(笑)

長谷川 そうですね、桑原はモーニング娘。を好きになってから全然変わりましたね。

桑原  お客さんの気持ちがわかった。何をすれば喜んでくれるのか、どういうものが見たいのか。それまではわかろうともしてなかったです。


10年超えたら俺らはもう100%売れないもんだと思ってました

──それでも毎年これだけたくさんの解散を目にしていると、芸人を続けることの難しさは並大抵ではないんだなと感じます。

桑原  賞レースがあって、自分の身の周りのこともあって、このまま結果が出ないんだったら辞めようかなという気持ちになっていくと思うんです。僕らも事務所にいたらもう先がないから辞めようかって話になるんですけど、フリーですから自由なんですよね、賞レースに出ようが出まいが。

長谷川 事務所にいると、商品でいなきゃいけないんで。今自分たちは商品としてありなのかなと。

桑原  商品価値が上がる見込みがなければ辞めるしかないので。

長谷川 でも今はもう楽しければいいじゃんっていう感じです。あとこいつが就職したので、こいつの人生を背負ってるとかそういうのもないので。気軽に、たまに会って。だから本当に小学校、中学校の時と変わらないですね。家で遊んでるような感覚。

桑原  今日はちょっと気分乗らないなっていう時も絶対あるから。それがみんなストレスとなって喧嘩になったりするんだと思います。特に僕らはすごく急かされてた世代なんです。M-1も10年までしか出れませんよとか。10年超えたら俺らはもう100%売れないもんだと思ってました。集客が上がらないと次のライブもやらせてもらえないし、常に尻を叩かれてた。ガツガツ「自分はお笑いやってます」ってアピールしながら活動しなきゃいけないってみんな思ってるんですよ。でも絶対そんなことなくて。

長谷川 単独もね、お客さんここまで入れないとダメだよとかめっちゃ怒られるから、頑張って集客しようとするわけじゃん。でも今は別に赤字になろうが僕ら次第。

桑原  売れるとか知名度が上がるとか、その方法も昔と全然違うと思います。昔は若いうちにテレビ出ないとダメみたいな感じでしたけどね。今は別にね。

長谷川 劇場も多いし、自分で発信できちゃいますからね。

──時代が変わってきてるんですかね。

桑原  年に1回しかライブをやらなくても自分たちが芸人だって言ったら芸人だし。解散してないって言えば別に解散してないんで。

長谷川 そういう時代になってると思いますよね。

──フリーになった今のほうが楽しいですか?

長谷川 今のほうが全然楽しいですね。

──事務所を辞める前から、フリーでこういうことをやりたいなという展望はあったんですか?

長谷川 フリーについてはけっこう前から言ってたよね。

桑原  そうですね。最後の1、2年は長谷川がやりたいっていうライブを、会社の法の目をかいくぐるような方法でやったりとか(笑)。自分たちで劇場を探してきてやったりしてたんですけど。

長谷川 それが誰にも迷惑かけてないのに隠れてやってる感が嫌になってきて。お客さんは喜んでるのになんでコソコソしてんだろうって。

──もともと思考がフリーに向いてたんですかね。

桑原  本当そうですね。途中でようやく気づきました。

長谷川 まあでも最初からフリーでやってたら変なことになってたよね。

桑原  うん。基本的なこととか、この業界でのコミュニケーションの取り方とか、そういうのはやっぱり事務所で勉強できたし。もちろん仲間もたくさんできましたし。事務所に所属していたことはすごくいい経験でした。

──フリーになる時の周りの反応はどうでしたか?

長谷川 あんまり周りに相談してなかったですけど、先輩とかは「まあな……。でも難しいよ」みたいな感じでした。普通に考えたらオーディションも来ないし、もう売れないわけですよ。

──それでも自分たちの中に勝算があった?

長谷川 いや、ただワクワクしてただけですね。どんなんだろうなぐらいの。


「あの人の考えてることおもしろいな」って思われたいだけ

──フリーになってからより世界観が強くなっているような気がしていて、好きなことをやれているのかなと思っていたのですが、いかがですか?

長谷川 外に出てからのほうがいろんな人が力を貸してくれるようになりましたし、他の芸人の目を気にしなくて済むようになりました。ジャンルレスにできるので。「お笑い」だけど、別に「お笑い」って決めつけなくていい。

桑原  そうね。事務所にいた頃は、俺たちはここの枠だなとか考えたりしてた時期もあったんですけど、辞めてから一切そういうのも考えてなくて。

長谷川 元々お笑いだけがすごい好きっていうわけじゃないんですよ、お互い。エンターテイメントが好きなんです。

──確かに「お笑い」という言葉よりも「エンターテイメント」という言葉のほうがお2人には合っているかもしれません。

桑原  そうですね、2人とも別にお笑いじゃなくてもいいんです。だから長谷川は漫画も描くし、劇団もやるし、僕はゲームを作る。ただ知らない人から「あの人の考えてることおもしろいな」ってただ思われたいだけなんですよ(笑)。それができるのがお笑いの仕事なんです。

長谷川 でも事務所にいるとその根本がどんどんなくなってっちゃって。僕はこいつの人生も背負ってると思ってたから、「もっとちゃんと芸人っぽくしなきゃいけない」とか「戦略的にはこうしなきゃいけない」とか言ってて。それを聞いてるとこいつも「それおもしろいのか?」「もっと自由にやりたい」ってなっていくけど、でも進まなきゃいけないですし、そうするとネタもブレブレになっていく。

桑原  何がおもしくて何がおもしろくないかの判断がわからなくなってた時期でしたね、事務所にいた頃は。俺がおもしろいと思うものはおもしろいはずだ、っていうところに自信が持てなかったです正直。でも今は2人ともすごい自信あるんですよ。これもう絶対おもしろい、おもしろいでいい、って。

長谷川 ただネタライブではできないですけどね、長すぎて(笑)


内側に対するエンターテイナー

──フリーになって長谷川さんは阿佐ヶ谷でCHARA DEというライブハウスを運営されていますが、これはどういった経緯で始められたんですか?

長谷川 劇場はずっとやりたいなって思ってて。なんでもできるじゃないですか。自分の居場所を確保しつつ、ちゃんとお金が入るところを確保しつつ、自分たちが稽古する時にはそこを使えるっていう。それでちょうどこいつが辞めるって言い出した時に、阿佐ヶ谷の謎解きイベントで知り合った人に「スペース空いてるよ」って言われて。周りにもやりたいって人がいたしじゃあ一緒に劇場作っちゃおうかってなりました。

──CHARA DEを始めると聞いた時、桑原さんはどう思われました?

桑原  僕はなんとも……(笑) おもしろそうだなと思ったぐらいですかね。

長谷川 そういうのは(桑原に)あんまり言わないでおいて、トークライブとかラジオとかで急に言うとリアクション見れて楽しいんですよね(笑)

桑原  それはおもしろいですね。

──それをおもしろいと受け止めてくれるのがいいですね。

桑原  長谷川さんを見て勇気をもらってる人がけっこういると思うんですよ。事務所辞めようかなとか。多分あの当時の僕らと同じ状況で事務所に居続けてる芸人っていっぱいいると思うんですけど、全然辞めればいいじゃんって言いたいです。「逃げるは恥だが役に立つ」の”やりがい搾取”じゃないですけど、あれが本当に横行してる業界なので。ギャラ少ないけどいい経験になったでしょ、ってことで済まそうとしてる悪い大人がいっぱいいます。早くそういう人たちから逃げて。そんなことない、いろいろ自分でできるんだよって。そういう意味では内側に対するエンターテイナーもやってるなと思うんです。

──芸人に対する啓蒙活動みたいな感じですね。

桑原  そうですね。世が世ならもうちょっとで革命家になれてますね(笑)

──芸人を解放する革命家と、それを暖かく見守る桑原さん。

長谷川 暖かく見守ってる?

桑原  暖かく見守ってる(笑)

長谷川 おもしろがってるだけでしょ。

桑原  おもしろがってるだけ(笑)

長谷川 虫かごに入った虫みたいな感じでしょ(笑)

桑原  まあ今は金もあるしね、何も脅かされるものがないので(笑)

長谷川 ワイングラス片手に俺を見てるんでしょ。

桑原  またやってらあ、って(笑)


桑原が単独をぐちゃぐちゃにする夢を見る

──会社勤めと単独ライブの稽古を同時進行というのは大変ではないですか?

桑原  いや、そこまで大変でもないですよ。

長谷川 音楽とかでこういうスタンスの人っているじゃないですか。だからお笑いにもいていいのかなっていう感覚なんですけどね。

桑原  やりたくない仕事だったら大変ですけどね。僕はどっちもやりたい仕事なので。

──それでも絶対的な稽古時間は減りますよね。

長谷川 前回全然稽古してなかったよね。

桑原  1日2時間ガッと集中して、4日ぐらいやれば大丈夫です。

長谷川 2時間は無理だ。

桑原  いや2時間にしよう。

長谷川 2時間ずっと集中してられないじゃん。30分くらいしたらすぐ飽きるじゃん(笑)

桑原  まあ一言一句きっちり覚えようなんて気もないし。最低流れが入って大事な言葉だけ忘れないようにして。

長谷川 こいつ覚えるのはめっちゃ早いんですよ。

桑原  長谷川さんは自然な流れの本を書くんですよ。だからたとえその先が入ってなくても、ここまでこういうセリフだったら、この後はこうだろって。

──今回のネタはもう完成しているんですか?

長谷川 いや、まだ作り始めたばかりですけど、早めに上げてちょびちょび稽古しとかないと。

桑原  まあ稽古いらないですけどね。

長谷川 絶対ダメ(笑) 最近めっちゃ夢見るんですよ、桑原が単独をぐちゃぐちゃにするっていう(笑)。

──怖いですね(笑)。

長谷川 怖すぎますよ。

桑原  それが一番楽しみですね。2人がセリフ飛んだ時が一番楽しいですね。ゾクゾクします。

長谷川 まあ結局本番はアドリブいっぱい入ると思いますけどね。

──舞台上でアドリブが入ってきた時というのはどういう感覚なんですか?

長谷川 その時が僕は一番楽しいですね。脳がフル回転するので。

──どちらのアドリブが多いですか?

長谷川 どっちもふっかけますね。それはもう嫌がらせ合いみたいな。元々バスケ部で、ベンチは暇だから他の人を笑わせようと、即興でお題をもらって2人でやってたんです。

──バスケ部時代から積み重ねたアドリブ力なんですね。

長谷川 一度トークライブでポイズンガールバンドさんをゲストで呼んだ時に、お2人が「クレオパトラってめちゃめちゃネタおもしろいイメージあるんだよね」って言ってくださったんです。でも「僕らのネタ多分芸人ウケしないような漫才だと思うんですけど……」って言ったら、例に挙がったのがほとんどアドリブでやってた部分だったんです(笑)

──あははは。じゃあ初めて観る方にはアドリブにも期待してほしいですね。

長谷川 そうですね。そして僕らだけじゃなくて、照明さんと音響さんのアドリブも。

──今回も音響は生演奏ですか?

長谷川 はい。上が映画館なので最初ダメだって言われてたんですが、下見に行ってこれぐらいの音だったら出せるってなりました。

──ピアノとサックスとギターですよね。

長谷川 そうですね。普通だったら照明も音響もきっかけをしっかり打ち合わせしなきゃいけないんですけど、どちらも僕らの呼吸に合わせてやってくれるんです。だからそういう意味でかっこよく言えば、ジャズに合ってる単独かもしれないですね。音響さんがフリージャズの方々なので。

桑原  お笑いジャズですね、ジャズコメディ。

長谷川 だっさ(笑)


みんなの脳みそを使ってる

──生演奏もさることながら、前回の単独では光と影を使った照明も非常に画期的で印象に残りました。こういった演出は誰の発案なんですか?

桑原  全部こっち(長谷川)です。

──総合演出のような立ち位置ですか?

長谷川 昔は演出してたんですが、別に僕に経験値があるわけでもないのであんまり楽しくないんですよ。結局自分が演出した通りに照明さんがやってくれて、桑原が動いてってやると、当たり前のものができるんですよね。だから渡辺敬之さんっていう照明家さんと、フリージャズの方々を呼んで、彼らに任せることにしたんです。台本渡すんで、照明も音楽も、ここで入れたいってところで入れてくださいと。そうなってからはみんなの脳みそを使ってるから楽しいんですよ。トリッキーなことをしてきたり、僕が気づいてないことも言ってくれたりもするし。

──化学反応みたいなことですよね。

長谷川 だから演出っていうよりは監督みたいな。みんなの技術を引き出すほうが合ってるかなっていう。なので僕の世界観っていうのものはどんどん削ぎ落とした感じになっていってると思います。前はちょっと厨二感のある雰囲気だったかもしれないんですけど、今はけっこうすっきりしてて。

──脚本も長谷川さんが書かれているんですか?

長谷川 一昨年やった時はお互い書いてそれを混ぜたんですけど、去年は忙しそうだったので僕が書いて。今年は1本か2本は書いてもらおうかなとは思ってるんですけど、でもどっちにしろ混ぜちゃいます。

桑原  そうですね。

長谷川 結局1人で作るとワンパターンになっちゃうんです。そういうのは僕が観てると飽きちゃうんですよね。「あ、こういうパターンのコントね」って思っちゃう。だからそうならないようにしています。で、一緒にやって欲しい時は構成に名前を入れるんですよ。そしたらやるしかないだろって(笑) 前回は入れてなかったんですけど、今回は名前を入れてます。

──お二人とも書くのは好きなんですか?

長谷川 ネタ書くの好きなの?

桑原  いや、俺嫌いだよ。

長谷川 でもさ、書くと愛着すごいじゃん(笑)

桑原  いや、2人でやるネタはあんまり好きじゃない。ユニットライブとかで書くのは好きだけど。

──何が違うんですか?

桑原  俺の書いたボケでスベってる人を見るのがいい(笑)

長谷川 ダメじゃん(笑)

桑原  「俺のせいでスベった~」ってのがたまんない(笑)

長谷川 やべえ(笑)

桑原  だからウケてもうれしいし、スベってもうれしい。

長谷川 コンビの時は責任感があるからね。

桑原  自分も言われるのでね。

長谷川 まあでも書くことは好きですから桑原さん。そんな変なものは出てこないです。それを部品にまた変な風に作り直すっていうのがいいのかなと。そこもさっきの話で、いろんな脳みそで作りたいんですよね。

──言葉の端々にクリエイティビティを感じますね。

桑原  クリエイター集団ですから。

長谷川 2人しかいないのに集団(笑)


愛で人が喜んだり、狂ったり

──ネタの着想はどういうところから得ているんですか?

長谷川 僕は見た目から入りますね。

──舞台の画を想像するということですかね。

長谷川 はい。照明とか椅子の位置とか。

桑原  僕は愛なんですよ、テーマが。

長谷川 やばいですね(笑)

桑原  愛で人が喜んだり、狂っていったりするのが楽しい。愛が深すぎるゆえに変な人とか。絶対お金とか得とか利益とかを優先したほうがいいのに、たまに人は愛を優先する時があるんですよ。

長谷川 あははは。まあでも人間臭いのは確かに僕も書きたいかもしれないです。ずっとファンタジーだったんですよ、よしもとにいた時は。それがどんどん歳を重ねるにつれて、いろいろな人と出会って、人間臭いものを書くようになってきてるかもしれないですね。

──昔と比べて自分からのアウトプットが変わってきた感覚はありますか?

長谷川 事務所にいた時はインプットが全くできなくて、ずっとただやるしかなかった。毎月いろんなもの作って、読んだり観たりする暇がなくて。今は時間があるんで、インプットができてるんですよね。その分いろんなものがアウトプットできるようになったのかなとは思います。

桑原  俺は逆に空間を使うとか見た目とかじゃなくて、テキストなんですよ。このセリフが人間臭くていいとか。だから完全に右脳派と左脳派なんです。

──いいバランスですね。ネタの中で演劇的な側面が強いのはお2人の好みですか?

長谷川 コントって、「ここがコンビニかー」ってところから始まりますけど、お芝居って遠回しなセリフから始まるんですよ。つまり想像できるんですよ、お客さんが。その想像の余地があるほうが楽しいかな、っていうことから演劇っぽくなっていったのかもしれないです。コントはぶつ切りで、その人たちのバックボーンもないので。

──素人目には、演劇にお笑いの要素を入れるというのは難しそうに見えるのですが。

桑原  演劇にお笑いを入れるのは楽なんですよ、お笑いを作るより。お笑いってツッコミを作らなきゃいけないんですよね。観てる人に伝えるためのセリフを作らなきゃいけないので。でも演劇だったら、これはそういう人だから、という理由だけで好きなようにできる。自由度はお笑いより演劇のほうが高いです。

──そうなんですね。

桑原  ツッコミってすげー難しいんです。


見所はやっぱり、座りやすくなったこと?! 

──今回の単独のタイトル「イシツナギ」はどのような意味でつけられたんですか?

長谷川 「つながっていく」「意思をつないでいく」っていう意味なんですけど、15周年で、ずっと最初の「やりたい」っていう意思をつないでやってきてるっていうのもあるし、いろいろなものをつなげられたらなっていう。

桑原  そういう意味だったんだな~。

──これも今聞いたんですね(笑)

桑原  僕はもうてっきり”異質な儀”(イシツナギ)っていう儀式の話かと。

長谷川 じゃあそれ入れましょ(笑)

──すごい発想ですね(笑) では、今回の見所を教えてください。

長谷川 見所はやっぱり、座りやすくなったよっていうのと……(笑)

──ユーロライブの椅子、ふかふかですもんね(笑)。

長谷川 あとはフライヤーのビジュアルを西島大介さんという漫画家さんが描いてくださったり、告知映像は森翔太さんっていう映像作家さんが作ってくれたりと、とにかくいろんな方が力を貸してくださって。内容面でも、今回は作家が入ってまた作り方も変わると思うので、今まで観てくださっている方にも、お笑いを初めて観るという方にも楽しんでもらいたいです。

──作家さんが入ると違うものなんですか?

長谷川 そうですね。僕は僕のネタを客観的に見れないんで。こいつはいろいろ分かってても多分当日スベればいいとしか思ってないですし。

桑原  よくわかってるじゃないですか(笑) はいスベったー、って。

──えー、相方なのに(笑)

長谷川 よくいる「俺あの時思ってたけどね」って言う奴ですよ。

桑原  あははは。

長谷川 それから昼の公演で即興舞台みたいなものをやろうと思っていて、そこには俳優さんや芸人も出るのであわせて観ていただけたらおもしろいかなと。

──わかりました。ではあとはネタの中に桑原さんの「愛」の要素を探しながら観るだけですね。

桑原  いや、愛しかないです(笑) 愛だけですよ、人をおもしろくさせてるのは。

──愛といえば、愛犬・ルフィちゃんはお元気ですか?

桑原  ……。

長谷川 いや死んでないでしょ!(笑)

桑原  すごい元気です(笑)

──よかったです。

桑原  あ、あとそうだ、僕彼女募集してます! 可愛ければ誰でもいいです。できればモーニング娘。好きな人がいいです。一緒にライブ行きましょう。

──ちなみに誰推しとかありますか?

桑原  僕は工藤遥ちゃんと佐藤優樹ちゃんのまーどぅーコンビです。

──ありがとうございました。




取材・文・撮影: Walive! 岡本